推 理 小 説 【 探 偵 の 休 日 】


1.プロローグ

秋晴れのさわやかな朝だ。
私はコーヒーカップを持ったまま窓から外を見てみる。
こんな日は、せわしないこの町でも少し、まったりとしている感じがするから不思議だ。

おっと、紹介が遅れた。
私の名前は幸島大史、現在三国志というゲームにハマっていてプライベートでは鄭士平と呼ばせている。基本的には下北沢で探偵業を営んでいることを付け加えておこう。
さて、皆さんは探偵というとどういう稼業を想像するだろうか?中には、警察が音を上げたような難事件を華麗に解決するクールで知性的な職業と思っている人もいるかもしれない。
とんでもない誤解だ。
今の時代、殺人・傷害事件は、全て警察で処理されている。だから私たち探偵稼業を営む者の主な仕事は、私的な追跡・調査依頼だ。もっと具体的に言うと夫や妻の浮気の調査依頼、企業の重役の素行調査、特定人物の所在地の追跡調査や、盗聴器・ストーカー対策なんかが主な仕事になる。
決して、知的な職業でもないし、華麗でもなんでもない。どちらかというと、他人様のプライバシーに首を突っ込む、気が滅入る仕事の方が多い。テレビに出てくるような有名探偵ならいざ知らず、私のような場末の探偵には、推理を必要とする依頼など来るはずもない。

『んー、相も変わらずヒマですねぇ。』
いきなり身も蓋もない事を言っているのは助手の鍾離双君だ。こんな小さな探偵事務所にほとんど無給で働きに来ている変わり者だ。なんでも、将来、警官になりたいのだとか。そのための実地訓練のつもりらしい。その発想自体が変っている。ちなみに本名は佐山悟という。鍾離双というのは、私の趣味に合わせた名前のつもりらしい。


2.三人の帽子

「そんなにヒマなら、少し頭の体操でもしてみるか?」
『頭の体操ですか?いいっすよ♪』
「ん、ではやってみよう。推理演算と言うヤツだ。A・B・Cの三人がいる。そして、赤い帽子が三つ、白い帽子が二つある。その帽子のうちの三つを個室で本人には分らないようにかぶせた。それから、三人を元の部屋で会わせた。もちろん本人以外の二人には、その子がどういう帽子を被っているのかは分る。つまり、三人とも自分の帽子の色は分らないが、他の二人の帽子の色は分る。さて、Aから順番に自分の帽子の色が分るか?と聞いたところ、Cは分ると言った。さて、三人の帽子の色は何色か?」
「えーっと・・・」
鍾離双君は少し考えて答えた。
『AとBが白、Cは赤これしかないでしょう?』
鍾離双君は自信たっぷりに答えた。
「ほう。なんでそう思うかね?」
『簡単な事ですよ。この問題で自分の帽子の色が分るとしたら自分以外の二人が二つしかない白い帽子を被っていた場合だけです。Cが分ったとしたら、つまりAとBは共に白い帽子を被っている場合しかあり得ない。つまり、AとBが白、残るCは赤。正解でしょ♪』
「ん。惜しいねぇ。」
私は、見事に鍾離双君が引っかかったので、少しほくそ笑んだ。
「それは、事実関係からの一時的推測でしかない。推理演算というのは、事実から二次的・三次的に推理を重ねる事を言う。」
『えっ?違うんですか?』
「違うわけじゃない。正解の一つではある。だが、その場合でなくても、Cには常に正解は分る仕組みになっているんだよ。」
『普通はAとBが白で、Cが赤だと思う。それは白の帽子が二つしかないという、事実から推測できる一時的推理だ。だが、この場合はなぜAとBが分らないと答えたか?という二次的推理がなされていない。それを考えると、どのようなケースでもCには自分の帽子の色が分るようになっているんだ。
Aが分ると答えた場合、Aには他の人の判断情報がない段階でも分る、つまりBとCの色は白でAは赤という事だ。
Aが分らないと答えた場合、Aにはこの段階では判断基準がない、つまりBとCは共に赤い帽子だったか、Bは赤でCは白だったか、Bは白でCは赤だったかの三種類だ。
次にBが分ると答えた場合、Cの色は白だったという事になる。なぜならもしCの色が赤だとしたらAの答えとの組み合わせで、赤赤赤か、白赤赤、赤白赤、白白赤の四種類しかないからだ。この場合のいずれもBにはまだ判断基準がない。逆にCが白だとしたら、Bは赤しかあり得なくなるから、Bには分る、そこからCにも自分の色が白だと分るわけだ。
そして最後にA・B共に分らないと答えた場合は、必然的に先ほど述べた4種類のケースしかあり得なくなる。つまりCには自分の色が赤だと分ると言うわけだよ。ちなみにこの問題は非常に有名な問題で、ちょっと推理演算を知っている者になら、あーあれね、という類の問題だ。』
「なるほどー」
鍾離双君は分ったような分らないような不思議な顔をしていた。
「でも先生、一つだけ確かなことが。」
「なんだ?」
「取りあえず、そういう推理力を必要とする仕事は来ていないので役に立たないらしいと言うことは分ります。」
「・・・・・。」
・・・・・鍾離双君の欠点は身も蓋もない事を言う事だ。


3.依頼

「あっ先生、仕事みたいですよ?」
ドアをノックする音が聞こえる。確かに依頼らしい。ドアを開けると、大学生とおぼしき女性がいた。
『あのー、こちらでは人捜しなんかもやってくれるの(゚∀゚)?』
なんか最後の表情が気になったが、取りあえず応接室にお通しした。
依頼主の名は緑川知花。某大学に通う大学生という事だ。
「ええ。やってますよ。どういう方をお探しで?」
『えっと、高校の時の担任の先生で、宮島進さんという人。高校卒業してもうしばらく経つので、同窓会をしようかなぁ?と思っていたんだけど、先生だけ、居場所が分らないのよね。学校に電話してももう辞められてどこにいるかわかんないって言うし(゚∀゚)。』
「なるほど。これはそんなに難しくないと思いますよ。一週間以内には、たぶん所在地は分ると思います。」
『んじゃ、そゆことでよろしく(゚∀゚)。』
そういうと依頼主は、名刺だけおいて風のように逃げていった。
「・・・・・」
「・・・・・・・」
「な、なんだったんでしょうか?」
「さ、さあ??」
まあ、取りあえず仕事は入った。いまいち、よく分らない依頼主だが、この際そんな事はどうでも良い。取りあえず食いぶちは確保せねば。


4.探偵、北へ

宮島進氏の所在地は順調に判明した。宮島氏は今は教員を退職して地元、仙台で牧場を経営しているらしい。ところが、依頼主に調査終了の報告をすると同時に話がややこしくなった。
『ありがとー♪それでさぁー、先生に会いに行きたいんだけど、いっしょについてきてくれない(゚∀゚)?』
「へ???」
『報酬ははずむから、よろしくなのだ。じゃそゆことで、明日午前7時に東京駅に集合ー(゚∀゚)(ガチャン)』
「あのー、もしもし??もしもし???(ツーツー)」
「・・・・」
「・・・・・・」
後ろで鍾離双君の目が点になっているのが分る。
「仙台ですか??」
「そう。仙台だ。明日は早いぞ。」
「マジっすか?」
「大マジだ。うちのモットーは、いつ何時どんな依頼でも受ける!!だ。」
「あの、僕、大学の授業があるので・・・・」
「何を言う。君との契約には、全ての依頼の助手を務める事、と明記されている。もし行かないなら給与はなしだ。それでもいいのかね?」
「分りましたよ。行けばいいんでしょ、行けばぁー(T▽T)。」
私もヤケだ。そういうわけで、奇妙な三人組で仙台に向かう事となった。


5.宮島宅

宮島氏の実家についたのは、もう日が暮れた頃だった。ベルを鳴らすと奥さんとおぼしき人が対応してくれた。名前は文さんというようだ。
宮島夫婦は、とても人が良く、見ず知らずの私たちを歓迎してくれた。緑川さんが同窓会を計画している事を知らせると、進氏はことのほか喜んで、必ず、出席すると言っていた。
宮川家は、牧場の中にある。このあたりは仙台牛の生産で結構儲かっているようで、敷地はかなり広い。そして、この家には宮川夫婦の他に、息子夫婦の守氏と朋子さんが住んでいる。また近くに住んでいる従業員の真鍋治雄氏もここで働いているそうだ。いずれ牧場の経営をするためにここで、勉強がてらに働いているらしい。

夕食はその5人に東京からやってきた3人組の計8名で食べる事になった。なんと仙台牛をごちそうしてくれると言う。
「うはっ♪ラッキーですね。」
来る時はブツブツ言っていた鍾離双君の機嫌もこの一言で直ったようだ。食う物があるとそれだけで幸せらしい。
食事は大変にぎやかになった。と言っても、喋っているのは緑川さんと鍾離双君がほとんどだったが。
守さん夫婦は、どうもいまいち状況が把握しきれないようだが、なんとなく雰囲気に飲まれている感じだ。
『今日はもう遅いから、泊って行きなさい。部屋はたくさん空いてますから。』
進さんがそう勧めてくれた。もちろん、今から帰るのは大変なので、お言葉に甘えさせていただく事にした。


6.逃げた牛

次の日、東京から押し掛けた三人組は、東京に帰る事にした。
『また、遊びに来てくださいね。』
文さんがそう言ってくれた。良い人だ。また遊びに来よう。
『先生、同窓会には必ず来てくださいね。』
「大変お世話になりました。それでは失礼します。」
「さようならー」
我々は駅に向かって移動を始めた。その時である。
『大変だぁー!!』
宮島守氏が、血相を変えてやってきた。何か起ったのだろうか?
『花子がいねー!!花子がいねぇだー!!』
花子???
『なんだ!!またか。』
話が見えん。
「あの、花子って誰ですか?」
『花子は、松坂牛コンテストで最優秀賞をもらった、うちの最高の牛だぁ。』
「高いんですか?」
『そりゃ、もう。』
困った。お世話になった手前、このまま、ああそうですかさようならというわけにもいかない雰囲気である。
「捜すの手伝いましょうか?」
『助かりますだ。』
と、言うわけで、花子捜索が始まった。


7.花子を捜せ

「取りあえず、お聞きしたいのですが、いつ花子がいない事に気がつきましたか?」
私は守さんに聞いた。
『午前7時に見回った時はいました。で、今見たらいねぇだ。』
「ということは、7時から9時の間に逃げたって事になりますね。牛が逃げるってよくあるんですか?」
『あんましねーだが、花子は元気だから時々柵を乗り越えて行っちまうだよ。こないだは、隣の源助さんの所の太郎と逢い引きしていただ。』
なんちゅう牛だ。まあ、取りあえず、目撃情報を集めるしかなさそうだ。ほっておいても帰ってきそうな感じはするが。
「このあたりの人の家を教えてもらえませんか?」
『このあたりで花子が行ける範囲ちゅーと、まずはとなりの牧場の源助さん家があるだ。それに道沿いに、東京から家族で越してきた三井さん家、雑貨屋やっている次郎さんも近いだ。そうそう。川の方に行ったとしたら、川辺のトシ婆さんが見ているはずだへ。交番の俊充さんもわかるかもしれねえだ。一応うちの真鍋にも聞いてほしいだ。』
そのあたりの人に聞いて回るしかないようだ。
「鍾離双君、緑川さん、今聞いた人たちに手分けして花子を見ていないか聞いてみてくれ。」
『えー、なんで?私も??』
「そう。私も。」
緑川さんは納得いかないようだが、この際だ。人手は多い方が良い。



8.隣の牧場の源助さんの証言

『花子はまた帰ってこんだか?』
源助さんはさほど驚いた風でもなく、仕事を続けながら答えた。
『どうせまた、その辺散歩しているんだべ。小一時間もすれば、戻ってくるだべ?』
「花子が脱走するのってよくあるんですか?」
鍾離双君がそう聞くと、源助さんは、
『全く迷惑だけん、よーく脱走しとるよ。あそこはいかんよ。だだっ広い牧場の奥に家建てるもんだから、入り口の管理ができん。これだから素人はいかん。だいたい花子は雄じゃと言うとるのにいまだに花子、花子と言うとるのもおかしい。』
と答えた。
「えっ?花子って雄なんですか???」
『そうだべ。だからうちの太郎の所に逢い引きに来るんじゃ。』
「え、え、えーと・・・」
『うちの太郎は雌だけんなぁ。雌に逢い引きに来るの雌は珍しいべ、こないだちょっと見たら完全な雄だ。なんで雄に花子なんて名前つけるべかな?』
「は、はあ・・・でも雌に太郎と名をつけるのもどうかと・・・ま、まあそれは良いとして、今日は花子を見てないですか?」
『おったよ。大通りを北に向かっとったで、今日は川へ行くつもりじゃろ。逆から真鍋さんが牛連れて来とったきに、真鍋さんに聞くがええ。』


9.三井義彦さんの証言

『花子?ああ、宮島さん所の。』
三井義彦さんは、今日は休日らしく、庭で洗車をしていた。
『ああ、見ましたよ。この道を北に向かってましたね。いつも通り川に行ったんじゃないかな?そのちょっと前に、真鍋さんが別の牛を連れて通ってましたから、真鍋さんも知っていると思うよ。』
「ありがとうございますー♪他に知ってそうな人いますか?」
『他にですか?うーん、源助さんが牧場から外に出ていたら見ているかなぁ?それともう少し北に行くと雑貨屋の次郎さんがいるけど・・次郎さんは変っているから・・・あまり聞いてもしようがないかも?』
「変っている?」
『うーん。近所でも評判の変わり者というか変人でね。この間は、なんでも、源助さん所の牛を盗もうとしたとか・・・。』
「牛泥棒??」
『という噂ですよ。直接見たわけじゃないんですが。』
「あの、牛なんか盗んで良いことあるんですか??」
『いや、その辺はよく分らないんですけどね。ほら、例の狂牛病の一件から、普通の牛の値段は下がっているらしいのですよ。けど、源助さん所の太郎とか、宮島さん所の花子なんかは品評会でも優秀賞をもらった牛でしょ?それなりに良い値段で売れるらしいですよ。だから逆に花子や太郎がいなくなると大打撃でしょうね。』
「うーん、なんかよく分んない世界だわ。とりあえずありがとですー(゚∀゚)。」
緑川さんは続けて三井さん所のお子さんの努君と佳奈ちゃんにも聞き込みをする事にしたらしい。


10.努君と佳奈ちゃんの証言

「ねーねー、君たち牛見なかった??」
三井さん所の子供の努君と佳奈ちゃんは、道路で遊んでいた。どうやら朝からずっとここで遊んでいたようだ。
『牛さん?見たよ?』
二人は手に持っていた飴を舐めながら答えた。
『あのねー、牛さんは、次郎おじちゃんのお店の方に行ったよ。』
「そうなの?ありがとね♪」
これは意外に重要な情報を知ることができたようだ。


11.雑貨屋の次郎さんの証言

緑川さんは雑貨屋の次郎さんの家に急いだ。
『牛??そんなもんは知らん!!』
次郎氏はちょっと偏屈そうな人だ。牛見ませんでしたか?と聞いただけでかなり語気が厳しくなった。
「ええ・・・こっちの方に来たと聞いた物ですから・・・」
『そんなもんは知らん!!帰れ!!』
「え、あの、すいません、もう少しお話を・・・」
『見とらんと言ったら見とらん!!真鍋のヤツが別の牛を連れて牧場の方へ行きおったのを見ただけじゃ。大体、このあたりの土地は代々ワシの土地だったというのに、あ奴ら牧場など建ておってからに・・・・ここはワシの土地なんじゃ・・・本当はここに工場を建てるつもりじゃったのに・・・・これ以上おったら叩き殺すぞ!!』
「ひぇー、すいませんでしたぁー。」
緑川さんは、身の危険を感じて逃げ出してきた。これはマトモに話ができそうな雰囲気ではない。三井さんの言うようにかなり、危ない人らしい。


12.駐在所の俊充さんの証言

『ああ、花子ちゃんですか。今日は見てないなぁ?。』
鍾離双君が聞くと駐在員の俊充さんはそう答えた。
『というか、花子ちゃんの散歩道からはここは離れるからね。普段でもあまり見かけないですよ。』
「そうですか・・・ありがとうございました。」
『花子ちゃん帰ってこないのですか?』
「ええ、まだなんですよ。」
『はあーだからか。真鍋さんが急ぎ足で通っていったもんで、何かあるなとは思っていたのですよ。でも珍しいね。花子ちゃんがまだ帰ってこないなんて。いつもは散歩が長くなっても一時間か二時間って所なのにね。まあ、見かけても素人のうちらにはどうしようもないけどね。牛を引っ張っていくなんて無理だからね。』
どうやら駐在員の俊充さんは特に何も知らないようだ。帰ろうと思った時、ふと、駐在所の奥の個室に何かの写真が飾ってあるのが気になったので、よーく見てみると・・・・・なんと花子のブロマイド写真である。
『あ、ああ、ほ、ほら花子ちゃんかわいいでしょ?この間写真撮ったので飾っておこうかなぁと・・・・。』
「は、はぁ、確かにかわいいですねー、ははははは。」
「ははははは。」
「ははははは・・・・。」
世の中には牛フェチという人種もいるらしい。鍾離双君は自分の知らない世界を覗いてしまった・・・・。


13.川辺のトシ婆さんの証言

「すいませーん、お婆さん。今日は花子見てないですかー?」
『あーあー、アタシャ84だよ。』
「いや、そうじゃなくて・・・はーなーこーをーみーてーないーですかぁぁ?」
『最近、耳が遠くてねぇー。』
『はーなーこーをーみーてーなーいーでーすーかぁぁぁ????』
『ハナちゃんは今日は来てないねぇ・・・・。』
トシ婆さんは三回目にやっと答えた。つ、疲れる。
『ハナちゃんにチョコレートあげるのが楽しみなんだけどねぇ。』
どうやら花子が川の方によく来るのは、トシ婆さんからお菓子をもらえるというのも理由の一つらしい。とりあえず今日は来てないようだ。
「じゃまたねー、おばあちゃん。」
『あーあー、ワタシャ元気だよぉ。』


14.真鍋さんの証言

鍾離双君が川での取材を終えて、牧場に帰ろうとすると、丁度真鍋さんと出会った。丁度家から出てきた所らしい。
『まだ、帰ってきていないのですか??おかしいな。』
「何か知ってます?」
『ええ。今日は別の牛を隣町から買い入れをしたので、大通りからその買い入れた牛を連れて歩いてました。そしたら、丁度、交差点のあたりで、花子が歩いてくるのが見えたのですよ。ああ、また脱走したのかと思ったのですが、さすがに二頭連れて歩くのは大変だったので、先に買い入れた牛を牧場に連れて行きました。その後で、花子を連れ戻そうと川の方に行ったのですが、見かけないので、どうしたのかなぁと。』
「やっぱり川には来てないですか?」
『いないですね。そうなると次郎さんの家の方に行ったとしか考えられないんですが・・・・。』
「そうですねー、そっちの方には緑川さんが取材に行っているので、たぶん緑川さんが何か聞き出せたかも?」
取りあえず、鍾離双君と真鍋さんは牧場に帰る事にした。


15.花子はどこに?

「とりあえず、集まった情報はこんなものですね。」
『次郎が捕まえておるに違いないわ。あの偏屈者が!!取り返しに行くぞ!!』
守さんはかなり怒った様子だった。
「次郎さんってどういう人なんですか?」
『このあたりの地主の子だったんですよ。でも事業に失敗してこのあたり一帯の土地を手放さなくてはならなくなりましたね。それを逆恨みしているのか、このあたりに住む人に八つ当たりしているんです。』
「なるほどねぇ・・・次郎さんって以前は何をやってましたか?」
『東京の方で、商売をしていたようですね。』
「以前、牛を盗もうとしたとか?」
『それは僕が見ました。』
真鍋さんが答えた。
『一ヶ月ほど前でしたかね。源助さんの牧場に入っていったのを見たのです。変だなぁと思ったので、源助さんに知らせました。急いで二人で見に行きましたけど、逃げられた後でしたね。』
「なるほど。」
『先生、連れ戻しに行きましょう。』
鍾離双君がせかすように言う。
「なるほどねぇ・・・・」
「先生??」


16.推理編エピローグ

このクソ小説を書いた孫ぽこです(T▽T)。
とりあえず、ここまでで前半は終了です。とにかく小説も推理物も書いたのは初めてですから、その辺は平にご容赦。
さて、花子がどこにいるか分った人は、【花子を隠した人】と【その方法】を書いて送って下さい。