中華歴724年 冬
陵南王指揮下の一軍は占領地に点在し、なお抵抗する敵を掃討していた。
抵抗勢力の首魁の位置を計りかね無為な日々を過ごしていた。
やっかいなことに史上最高の武といわれる士孫随が合流したという情報が持ち込まれた。
神出鬼没に無双の武をひけらかせる士孫随に敵する人材がおらず、被害のみが広がっていた。
ある日、陵南王は練兵を見学しつつも心は上の空であったが、一人の兵を見たときに己の不明を恥じたのである。人材は居ないのではなく、適所に得ていなかっただけであった。早速その兵を将とし登用した。名を岳進という。
岳進はその信任に答え無類の武を奮った。士孫随に30合と一歩も引かなかったが、時を重ねる毎に不利になっていくのは明白と見えた。
陵南王は一度岳進を引かせ策を持って討つ方法を採った。
諸将と意見を出させ、落とし穴を掘り、其処に落とすという策を取った。
士孫随は策にはまり岳進に一刀元に斬られた。士孫随無き後の抵抗勢力は瓦解し総崩れとなった。
陵南王は捕虜に尋問を行うために近づこうとしたとき、捕虜は突如身を飛散させ爆発したのである。しかし岳進は身で陵南王を防ぎ王は武事であった。爆発にさらされた岳進も無事に済むはずもなく程なく絶命した。
王はその忠武を惜しみ落涙した。のちにその武を讃え武威将軍の号を贈った。